強迫性障害とは?その症状・原因・治療法をわかりやすく解説
1. 強迫性障害とは?
**強迫性障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)**は、不安や恐怖から逃れようとして、「自分でもやめたいのにやめられない考えや行動」を繰り返してしまう心の病気です。
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「手を洗っても、まだ汚れている気がする」
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「戸締まりを何度も確認しないと気が済まない」
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「ある数字や順番にこだわらないと不安になる」
こういった症状が、日常生活に支障をきたすほど強く、苦痛をともないます。
2. 強迫性障害の主な症状
■ 強迫観念(きょうはくかんねん)
頭の中に何度も繰り返し浮かんでくる不安な考えやイメージのことです。自分でも「ばかばかしい」と思っていても、止められません。
例:
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「ドアを閉めたか何度も気になる」
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「手についた菌で家族が病気になるかもしれない」
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「悪いことが起きる予感がしてならない」
■ 強迫行為(きょうはくこうい)
その不安を打ち消すために、何度も同じ行動を繰り返してしまうことです。
例:
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1時間以上手を洗う
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ガスの元栓を何度も確認する
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数を一定回数だけ数える
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物の配置を完全にそろえないと不安になる
3. なぜ強迫性障害になるの?
原因は1つではなく、次のようなものが関係していると考えられています。
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脳の神経伝達物質(セロトニン)のバランスの乱れ
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強いストレスやトラウマ
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几帳面、完璧主義などの性格傾向
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家族内に似た症状がある場合(遺伝的要因)
4. 自分でできることは?
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「これは病気なんだ」と自分を責めすぎない
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少しずつでも不安な考えや行動から距離をとる練習をする
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生活リズムを整える(睡眠・食事・軽い運動)
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信頼できる人に話す
ただし、自力だけで治そうとするとかえって悪化することもあるため、早めの専門家への相談が大切です。
5. 治療法
■ 薬物療法
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**SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)**がよく使われます。
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不安や強迫行為を軽減し、考え方のコントロールがしやすくなります。
■ 認知行動療法(CBT)
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強迫観念に対してあえて反応せずにいられるよう、少しずつ練習していく治療法です。
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「暴露反応妨害法(ERP)」という方法が効果的とされています。
■ 家族や周囲の協力
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強迫行為を「手伝わない」
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患者を責めず、見守りながら支援する
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本人が治療に前向きになれるようサポートする
6. どこに相談すればいい?
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心療内科・精神科
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精神保健福祉センター
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学校・職場のカウンセラー
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保健所
早期に相談することで、回復の可能性が高まります。症状がひどくなる前に、「ちょっと変かも?」と思ったら相談することが大切です。