双極性障害とは?気分の波に悩む人へ ― 症状・原因・治療法をやさしく解説
1. 双極性障害とは?
双極性障害(そうきょくせいしょうがい)とは、気分が「高すぎる状態(躁状態)」と「落ち込みすぎる状態(うつ状態)」を繰り返す精神疾患です。
以前は「躁うつ病」と呼ばれていました。
2. どんな症状があるの?
■ 躁(そう)状態
気分が異常に高揚し、自分は何でもできると感じるような状態です。具体的には:
-
異常に元気、寝なくても平気
-
おしゃべりが止まらない
-
アイデアが次々浮かび、じっとしていられない
-
お金を浪費する、大きな計画を立てる
-
自信過剰(根拠のない万能感)
この状態がひどくなると、周囲が心配するような言動やトラブルに発展することもあります。
■ うつ状態
一方で、躁状態の後や別の時期に、次のようなうつ症状が出ることがあります。
-
気分が落ち込む
-
やる気が出ない
-
寝すぎる、または眠れない
-
自分を責めてしまう
-
死にたいと思う
⚠️ 躁とうつの差が激しいのが特徴です
そのため、**「明るく元気な時と、別人のように落ち込む時がある」**というのが典型的なパターンです。
3. 双極性障害の種類
● 双極I型障害
-
はっきりとした重い躁状態がある
-
入院が必要になることもある
● 双極II型障害
-
軽い躁状態(軽躁)と重いうつ状態が繰り返される
-
うつの時期が長く、気づかれにくい
4. 原因はなに?
完全には解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられます:
-
脳内の神経伝達物質のバランスの乱れ
-
遺伝的な要因
-
強いストレスや生活環境
-
体内リズム(睡眠・覚醒)の乱れ
特定の「きっかけ」がなくても発症することがあります。
5. 治療法はあるの?
■ 薬物療法(とても重要)
-
気分安定薬(躁やうつの波を抑える)
-
抗精神病薬(躁状態のコントロール)
-
うつ状態には注意が必要:抗うつ薬は躁転のリスクがあるため慎重に使う
■ 精神療法・心理教育
-
病気への理解を深めることで、再発予防に役立ちます
-
家族も一緒に学ぶことで支援しやすくなります
■ 生活リズムの安定
-
睡眠・食事・運動のバランスを保つことがとても大切です
-
アルコールや刺激物は避ける
6. 家族や周囲ができること
-
「気分の波」が病気によるものと理解する
-
急な躁状態でも感情的にならず、冷静に接する
-
治療を続けるよう励まし、サポートする
-
本人の自己判断で薬をやめないように見守る
7. 早期発見・早期治療が大切
双極性障害はうつ病と間違えられることも多く、誤った治療で悪化することもあります。
特に「うつ状態」しか見えていないときに、抗うつ薬だけを使うと躁状態が誘発される場合があるため、正しい診断がとても重要です。